強行採決

教育基本法改正案が、参議院の特別委員会で強行採決されてしまいました。
タウンミーティングのやらせ問題に完全に目をつむったまま、力ずくでやってのけました。
政府は教育を使って、国民を徐々に飼い慣らし、国に命をささげるような「美しい」精神を養おうとたくらんでいます。
しかし、戦前のあの時代、人心を飼い慣らすというのは生易しいことではないということを示した人たちもいました。体制にはむかえば死刑という時代にも、戦争に反対した人たちはいたのです。
そして戦後、軍国教育は完全否定され、今の教育基本法が出来上がったのです。
現行の教育基本法は、幸いにも国民に受け入れられ、ここまでやってきました。
そこには少なくとも、強制の要素など、なかったはずです。

今日の強行採決はどうでしょうか?
情報がこれだけ飛び交う時代になって、テレビでも新聞でも強行の様子が流れるというのに、あのザマはなんなのでしょう。
このようにひどい形で決められた法律を、絶対に認めるわけにはいきません。

政府の諮問機関などにも名を連ねる評論家が、いつかのテレビで、「いつの間にかなんてことは絶対にありえない」ということを発言していました。
しかし、この発言は大いに間違っていると私は思います。
政府は必ず「いつの間にか」法律を通そうとするのです。
その後で、いざ国民が抱いた悪い予感が的中しても、「自業自得だ」といって言い逃れるのです。
評論家の発言は、国民に対して「いつの間にかなんてことはありえない」という「油断」を与えるものとして、最も敵を利する発言だと私は思います。
そして、評論家は自己が社会の主体であることを放棄しているのと同じではないかと思います。
非難するだけしておいて、「ほらみたことか」とあざわらう。
「どう主体的に動くべきか」という問題には目をつむってしまうのです。
不可解な人たちだと、思わずにはいられません。